2010/02/02 (Tue) 妹.子時.忘.人の解説です

動画では全然伝えられなかった部分を、ブログの方で解説していきたいと思います。動画の方でも書いているのですが、歌詞を書いたのは私ではなく、相方の朱酉です。私からコンセプト等全く伝えておりませんでしたので、私なりの見方で解説していきたいと思います。最後に歌詞も置いておきますね。

拙い文章ですが、どうぞお付き合い下さい。

とある戦の最中、妹子は太子と戦が終わったら落ち合う「約束の場所」を決めました。しかし、妹子はその場所に行けずに命を落としてしまいます。太子もまた、命を落としたのか、妹子の訃報を聞き、「約束の場所」に行く必要がないと思ったのか…（そこはこれを読んでくださっている方々の想像にお任せします）どちらにせよ、動画が始まった時点ではもう太子も亡くなっています。

太子は死後の世界で（恐らく天国なのでしょう）部下が辛辣で大変だ、という閻魔と意気投合します。閻魔は現世の様子、冥界の様子を、太子は生前のことをお互い話しました。

妹子の体は死んでしまいましたが、「太子と約束したんだ」という強い思いはずっと生きていて、魂だけは「約束の場所」にたどり着くことが出来ました。それなのに待てども待てども太子は来ません。「ここで待っていれば、いずれ太子が来る」妹子の魂は地縛霊のようにそこに留まってしまいました。

現世に偵察に来た閻魔。「太子…太子…」その名前に反応して声のする方を見ると一人の魂がいました。「彼が太子がいつも話している妹子なのか」閻魔は妹子に声をかけようと近づきます。太子の気配を感じた妹子は目の前にいる人物に呼びかけました。

「た、い…し」
「あぁ……えーっと、君が妹子かな？」
「…太子、やっと来てくれたんですね」
「違う、俺は太子じゃない！ちゃんと俺のこと見て！俺の声を…」
「ちが、う…？じゃあ太子はどこに！捜しに行かなきゃ…」
「無理だよ、だって君は…」

この場に留まろうという思いの方が強いのか、まるで糸が絡まったかのように妹子は動く事ができません。それでも必死に太子を捜しに行こうとする妹子の姿を見た閻魔は「死んでるんだよ」の言葉を紡ぐ事ができませんでした。妹子は目の前にいるこの男が自分の邪魔をしているんだと思っているのです。なので、閻魔の画像の前に「阻むもの静かに佇み」という文を入れました。

閻魔は冥界に帰ってからも妹子のことを考えました。現世に留まる魂を冥界に無理矢理連れて行く力は閻魔にはありません。陰陽師や除霊師ならばできるかもしれないですが…。閻魔は思いつきました「太子ならば妹子を説得できるかもしれない」既に裁きが済んだ魂を現世に連れて行くことはいけないことなのですが、冥界の人たちには内緒で太子を現世に連れて行くことにしました。

太子を連れて再び妹子がいた場所に行きました。やはり同じ場所で太子を呼び続けています。「妹子、私だ。分かるか？」その声は妹子には届きませんでした。目の前に太子はいるのに、妹子は太子を探します「貴方は何処にいる」と。妹子は自分が死んでいると思っていない、つまり死んだ人間は見えていないし、声も聞こえていません。必死に自分を求める妹子の姿を見て、太子は思わず涙を零しました。

その後何かのきっかけで自分が死んでることにようやく気付きます。詳しくは考えていなかったのですけれども…。それでも「約束の場所」で太子を待つ。それが「僕」の最後の思いだから。

 

＜歌詞＞

甦る街に独り　時忘人（ときわすれびと）は
闘いの創（きず）に彩られた壁　背にして

行き交いし人など目もくれず　時を待つ
折れた剣　右手に携え祈り捧ぐ

長きに渡る戦（いくさ）も終わりを告げたというのに　貴方は何処（どこ）にいる
只独り陽出（いずる）国を遙か彼方から見つめているのだろうか　時は経ち過ぎ行く

動いていた時が止まった　貴方は確かに其処（そこ）にいた
風が凪（な）いだ　もう届かない　祈りは泡沫（うたかた）に消え逝くよう

聴こえていた声はもう無い　阻むもの静かに佇み
繋がっていた糸は絡まり　僕はただ動けず此処（ここ）にいる

陽は沈み　欠けた月が哀しげに浮かぶ
時に置き去られたまま　夜を繰り返して

共に支え合い　力合わせ　戦い続けてきた　貴方は何処（どこ）にいる
今も陽出（いずる）国の安穏を幸を願い続けているのだろうか　僕は貴方を待つ

戦ってきた記憶があった　背中預けていた貴方がいた
この街には僕だけがいる　あの見慣れた顔は今何処（どこ）に

失クシテタ　探シテタ　トテモ大切ナコトヲ…
僕が此処（ここ）にいる意味を
動ケナイ　ソノ理由ヲ　僕ダケガ違ッテイル
ずっと逆らい続けてきたコト

止まっていた　ずっと前から　何ひとつ聴こえなくなってた
左胸に手を押し当てる　僕の声はもう　届カナイ…

動いていた時が止まった　同じように僕も止まってた
風が凪（な）いだ　只立ち尽くし　涙無く声も無く　泣いてた

地に佇む錆びた剣（つるぎ）　此処（ここ）がきっと僕の居場所だと
誰ひとり気付くことなく　時忘れ独り貴方想う